CADによる設計

はじめに

ここにきてようやくCADに入ります.ここではCADの操作や小技の情報は省きます.設計を進める上で,CADを使用する注意点を主に説明できたらと思います.(筆者の意見そこそこ強めなので注意.)

CADは粘度コネコネです.ポンチ絵で描いたことを形にしていきます.設計というとCADを操作することのように思えますが,あまりCADに時間を割かないようにしてほしいということを一番に伝えたいです.例えば木工でDIYをするとします.わざわざ3DCADなんか使わずに手書きの設計図やパーツの寸法で済ませますよね.つまり,パーツ単体や手加工レベルであればポンチ絵で済んでしまいます.ではなぜ,3DCADを使うのか.設計において3DCADを使う理由について説明していきたいと思います.

3DCADを使う最大の理由はアセンブリにあり

3DCADを使う理由はたくさんあります.パーツ設計が楽だから.CNCや3Dプリンターのデータをつくるため.などなど加工やシミュレーションなど3DCADはロボット開発を総合的に支えています.

では,設計という視点に絞ったときの3DCADの役割は何か.それはアセンブリだと考えます.わかりやすく言うなら組み立てですね.これは手書きの限界があるところです.3次元的にパーツを組み合わせることでわかる設計ミスがたくさんあります.身近なものだと干渉とかですね.そういった,3次元的なミスを確認するところがアセンブリの目的です.

しかし,設計者は自分の考えたパーツたちが次々と組み合わさり,ロボットに近づく様を前に冷静ではいられません.3DCADでは問題なかったのに,いざ実物を作ったらうまくいかないなんてことは筆者もたくさん経験しましたし,たくさん見てきました.

ということで,アセンブリをするときに気をつけたいこと,注意点をまとめていきます.

アセンブリをするときの注意点

アセンブリをするときに忘れがちなこと,注意しなければならないことを備忘録もかねてまとめます.

どうやって組み立てるの?

3DCADは優秀なので,干渉チェックだったり拘束エラーでその組み立てがおかしいときは知らせてくれます.逆にいうとこれしか教えてくれません.ユニットを組み付けるときの通過経路の干渉は教えてくれないんですね.このことを忘れてしまうとCADでは綺麗に組まれているのに,ユニットが入らない,どう組み立てるのこれ?みたいなことが起こってしまいます.ユニットで分割しながら設計することはパーツが複雑に絡まった固定になるのを防ぐ効果があると思います.

また,よくあるのがドライバが入らない問題です.なかなか信じられない話かもしれませんが,結構よくあります.ボルトの固定があまり内部に来ないような設計をすることで防ぐことができます.

アセンブリをするときにはこれをどこから入れてどう固定するかも考えながらしましょう.

本当にCADにあるデータがすべて?

制御,設計,回路と分担をしていると特に回路の存在を考えずに設計を進めてしまうことがあります.基板だけではなく配線もです.配線は綺麗にまとまっているとロボットの完成度が高く見えるのでできる限り美しくまとめたいです.配線は思ったよりもスペースを使うのでこういった回路のことも考えた設計を心がけましょう.

同じ様な失敗で,ネジの干渉があります.多くの部隊はネジをCADに落とさずにCADをすすめると思います.それゆえの設計ミスとしてネジ頭やナットの干渉が起こります.そういった意味でもスペース的に攻めた設計はあまりするべきではないかもしれません.

そのパーツちゃんと固定されてる?

パーツの固定はネジだけではありません.特に軸周りの固定,位置決めは簡単ではありません.CADでは固定されているのに,実際に組み上げたら軸がすっぽ抜けるなんてことがあります.位置決めがしっかりとされていないとガタツキがあり,もろいロボットになってしまいます.位置決めの詳しいことについては機構要素の章でまとめてあります.

CADのサボり方

CADでの設計で最も省略したい部分はモデリングの時間です.市販の機械部品やモーターをCADに起こす作業は本質ではないため,なるべくなくしたいところです.モデリングはサボってなんぼ.モデリングの前にまずはネットで「型番 cad」で調べるとstepなりstlなりがだいたいあります.それをダウンロードして使いましょう.また,機械部品に関してはミスミからダウンロードできます.(無料会員登録が必要.)


先頭に戻る

作成者: 後藤波瑠 / 22 / レスキュー

最終更新: 2025年 08/13